AT_N's MEMO

AT_Nって人の雑記帳。ゲームの話が9割。

To the moon をプレイして。

念のためネタバレ注意。
れびゅわーの真似事でもしてみる。

http://playism.jp で日本語版が買える。英語版はSteamにて。

ゲーマーの端くれとして言えば、このタイトルについて、ゲーム的に見るべき点は「皆無」と言わざるを得ない。
なぜか。

理由は単純で、およそゲーム性という要素が希薄だからだ。
絵合わせパズルや、鍵集め、読み物といったファクターは確かに存在するけれど、謎解きをメインに据えたフリーのツクール製アドベンチャーには比肩しうるはずもない。
というか、ゲームとしては難易度どうこうの話をする意欲さえ沸かない程度のものだ。

だというのになぜこのタイトルがある界隈で、そして世界規模で話題になったのか。(それもツクール製のタイトルがだ!これは驚くべき出来事である。)

その理由も、同様に単純だ。

To the moonは、優れた物語なのだ。我々が普段消化する娯楽としてのゲームではない。
物語には煩雑なだけのゲーム性など必要ない。物語を邪魔しない程度のものであればよい。
そして、我々は与えられた自由でもってこの物語の世界を歩き回り、没入していくことになる。
我々は二人の分身を操り、ただ物語を追っていくだけでいい。

つまりは、物語へプレイヤーを引き込むデザインと、中枢を成す物語がとても"良い"ということ。
丁寧に紡がれた物語が評価されないことなんてあるわけがない。ただそれだけの話だ。
だから、To the moonは良い作品なのだ。

話の筋に触れる事は出来る限り避けるけれど、互いに傷を負った二人の物語は痛々しくもあり、心地よくもあった。
そして自分は"彼女"が"彼女"を"彼の願いのために"彼から隠す決断をしたとき、涙を流した。
そして、彼が彼の意思で彼女を選び、そして願いを叶えたその世界を虚構の世界とはとても思えなかった。
彼らは確かにそこにいたのだ、と。
だからきっと全てを終えた後、脳裏をよぎった感情は、「喪失感」だったのだと思う。
それは悪い感じは全くしなくて、だから彼が救われたことに対する安堵感でもあったかもしれない。

ハッピーエンドともバッドエンドとも違う、不思議な終わり方だった。

当然個々人の好みはあろうし、だからこの作品が絶対的に良いモノだとは言わない。
だけど、自分はこの物語を"良い"という以外の言葉で語ることができない。
言葉を尽くす必要も無いとは思うけれど、もどかしくも感じる。

興味を持たれたのであれば、ぜひ買って彼の終わりを見届けて欲しい。
きっと、あなたにとっても悪い物語ではないだろうから。